熊の出没対策に「赤外線×ドローン」
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2025年12月22日
近年、全国各地でクマの出没や被害が相次ぎ、住民の不安が高まっています。行政としても、注意喚起だけでなく、“いまどこにいるか”を把握し、現場の安全を確保するための対応力が求められる局面が増えています。
その手段の一つとして注目されているのが、赤外線(サーマル)カメラ搭載ドローンによる捜索・確認です。 プリベントデザインでは、赤外線での見え方や運用の難しさを軽視せず、実証と検証を重ねながら自治体・官公庁向けに現場支援できる体制づくりを進めています。
本記事では、現場判断に役立つように「赤外線でクマはどう映るのか」「捜索の進め方(例)」「導入時に押さえるべきポイント」をできるだけ実務目線で整理します。
赤外線で「見えるものと見えないもの」
赤外線カメラは対象そのものを撮るというより、表面温度の差を画像として表現する機器です。 そのため、可視光(普通のカメラ)と比べて「強い」一方で、誤解されやすい点もあります。
<サーマルが得意なこと>
・暗所、夜間でも探索できる(光がなくても温度差で捉えられる)
・背景より温かい対象がいる場合、“熱源”として目に入りやすい
・人や動物の“存在確認”の初動が速い(広域スキャンに向く)
<サーマルが苦手なこと>
・体の輪郭が崩れることがある(毛・濡れ・距離・解像度の影響)
・岩、地面、建物の蓄熱で背景が温まり、見分けづらくなる(特に日中)
・草木・藪越しだと、熱が途切れて“点”や“塊”に見えることがある
・カメラ設定(温度レンジ等)次第で、対象が埋もれる/強調され過ぎる
つまりサーマルは「万能」ではなく、“条件と運用で精度が決まる”技術です。 導入にあたっては機材選定よりも先に、運用設計(見るタイミング/高度/設定/確認手順)を固めることが成功の近道になります。

クマの熱像を「正しく知るために」
私たちは赤外線でクマがどう映るかを把握する目的で、動物園で観察・撮影を行いました。 理由はシンプルで「現場では見えた気がする」では足りないからです。 現場のサーマル捜索では「対象の熱像が背景に紛れる」「一瞬のシルエットで誤認する」「クマっぽい塊が実は別の熱源だった」といったことが起こり得ます。
そのため既知の対象を、距離・角度・動き・寝姿勢など複数条件で観察し、熱像のクセを掴むことが重要になります。 検証は地味ですが、ここを丁寧にやるほど実運用での見落としや誤認を減らせます。
「赤外線ドローン運用」
自治体・官公庁の現場で実装しやすいよう、捜索を「2段階」に分けて考えます。 ポイントは“探す”と“確かめる”を同じ飛行でやり切ろうとしないことです。
1)広域スキャン
目的:候補を見つける/安全確保の材料を増やす
・出没想定エリアを区画化し、一定高度でスキャン
・サーマルは「見慣れたパレット」に固定し、迷いを減らす
・温度レンジは背景に合わせて調整(背景が熱いと埋もれやすい)
・“それらしい熱源”を見つけたら、位置情報・時刻を記録
成果物(例)
・候補地点の座標(地図)
・発見時刻、移動方向、停滞の有無
・現場共有用の静止画/短尺動画
2)確認飛行
目的:クマかどうかを確度高く判断し、現場判断に繋げる
・低すぎない範囲で高度・ズームを調整し、輪郭情報を増やす
・可視カメラ(可能なら)と組み合わせ、誤認を減らす
・“追い回し”は避け、刺激しない(安全上・誘発リスクの観点)
成果物(例)
・対象の体型特徴(サイズ感、歩容、個体の特徴)
・現場対策に必要な「いま居る/移動している」の判断材料
・住民対応の説明に使える客観資料(画像・ログ)
実運用で効く「見落としを減らす」観察ポイント
赤外線映像は条件で姿が変わるため“クマっぽさ”は複数要素で判断します。
・前半身が厚く見える傾向(肩~背中の塊感)
・歩き方がどっしりして見えることが多い(ただし距離で崩れる)
・休息時は大きな熱の塊になりやすい(前脚を抱え込む姿勢など)
・背景温度(岩・地面)次第で、輪郭が「溶ける」ことがある
→だからこそ 時間帯選定 と 設定の最適化 が重要
機材より「体制」と「手順」
自治体官公庁の現場では技術の良し悪し以上に、誰がどう判断しどう共有するかが成果を左右します。
・指揮系統(誰が意思決定するか)
・連携先(警察、猟友会、施設管理者等)との情報共有ルール
・現場安全(近づかない・刺激しない・誘導しない)
・記録と報告の形式(後日の説明責任に耐えるログ)
プリベントデザインでは赤外線ドローンの知見を「映像の綺麗さ」で終わらせず、現場で使える運用フローと成果物として整えることを重視しています。
「私達ができる支援」
私たちは赤外線の“見え方”を理解したうえで、自治体・官公庁の実務に合わせて次のような支援をご提供します。
・事前検討支援(想定エリア、時間帯、観測条件、必要装備の整理)
・実証・検証の設計(安全・法令配慮、成果物の定義、評価方法)
・捜索運用の手順化(スキャン/確認の2段階設計、共有フォーマット)
・訓練・机上演習(現場想定での判断訓練、共有オペレーション)
・現場支援(状況に応じた体制構築・関係機関との連携設計)
※法令対応や運用体制など、案件の性質に応じて、適切な体制で支援を行います。
クマ対策は「防災」の一部、備えを“運用”として整える
クマ出没は突発的な出来事に見えて、実際は「備えの差」が安全を左右します。 赤外線ドローンは強力な手段になり得ますが、同時に、誤認や見落としを防ぐための検証と運用設計が欠かせません。
プリベントデザインでは現場で本当に役立つ形に落とし込むため、実証・検証を積み重ねています。 「まずは小さく試したい」「現場の運用を整えたい」「訓練から始めたい」など、状況に合わせてご相談ください。
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